佐藤剛

アメリカ人とのハーフの端正な顔立ちをした女の子だった。ただ肩まで伸ばした髪の毛は、いつ手入れしたのかわからないほどからまっていて、ジーンズのミニスカートから見える脚は、汚れてすすけてあちこちすり傷があった。 りりィという名は中学校の時のニックネームだというその女の子は、ギターの弾き語りでイエスタディを歌って聞かせた。喉から絞りあげるようなかすれた声は個性的だった。 オリジナル曲が一曲だけあると言った。愛というその曲を聞かせてもらうことにした。その歌を聴いて驚いた。空もひとり 海もひとり 私もひとりという歌詞の、底知れない孤独感にうちのめされる思いがした。りりィが17歳の時に初めて書いたという愛には、孤独な少女の叫びが込められていた。ヒット曲になるような歌ではない。だが素直な歌詞とハスキーなヴォーカルから、純粋な心根が伝わって3人の心をゆさぶった。 すると曲がついていない詩ならまだたくさんあると、りりィは黒い手帳を開いて見せてくれた。そこには詩のほかにイラストも書いてあった。